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歯周病の症状が出るわけ

歯周病の病態は細菌による炎症です。炎症は刺激に対する生体の応答で、急性期において臨床的に発赤.発熱.腫脹.疼痛が起こります。これらの病態は充血と滲出.変性.細胞増殖によるものです。細胞増殖は炎症が治癒するときの姿ですので、ここでは炎症の急性期における充血と滲出および変性に起因する臨床症状についてお話しします。

①発赤(赤くなること)は、細菌と戦うための準備をしている証拠です。血管を拡張させ、細菌と戦う白血球を戦場にたくさん送り込むために、血管を広げ充血を起こしているのです。

②発熱(熱をもつこと)は、白血球(特に免疫細胞)が働きやすい温度にするために起こります。

③腫脹(腫れること)は、拡張した血管から血液の液状成分が漏れでることによって起こります。これにより最近のもつ毒素(ジンジパイン)を薄め、さらに細菌と戦う白血球の栄養となる後方支援物資(血漿タンパク)を送ります。戦った後の白血球の死骸と細菌の死骸、さらには組織の破壊物などが膿となり排出されます。

④疼痛(痛みが出ること)は、組織が損傷を受け変性.壊死に陥ると、ブラジキニンやプロスタグランジンという発痛物質が出ることで起こります。身体が傷ついたという情報は電気信号となり、神経を伝わって脳に伝達されます。脳がその情報を受け取ることで『痛い』と感じ、障害部位を教えてくれるのです。これらの物質はおもに発熱や腫脹という症状の惹起にも関与しています。医療従事者は、初期治療として熱と腫れを押さえ、痛みを止めることが大切です。歯周治療であれば、主訴の対応をして、症状が治まれば歯周検査を行い、病態を把握し、治療計画を立てて患者さん自身の治癒を助けてあげることになります。

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デンタルハイジーン10月号より引用

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