口腔内には歯周病菌のすみかに適した、歯周ポケットという嫌気環境があります。彼らは空気がたくさんあるようなところでは生きられません。
したがって、口腔内は彼らにとって居ごこちのよい場所なのです。
そしてすみかだけではなく、口腔内には彼らの栄養も豊富にあります。彼ら細菌の食べ物は糖やタンパク質、そして鉄分━つまり血です。
細菌に限らず、生物は鉄分を自分で作り出すことはできないため、外部から摂取します。
細菌は潰瘍を作るための酵素をもっていて、歯肉溝の中で潰瘍を作り、出血させます。
そして、血の中のヘモグロビンはヘム鉄(鉄分)とタンパク質であるグロビンから構成されていますが、細菌はそのヘム鉄を取り出すために、タンパク質であるグロビンを分解する酵素ももっています。
このように、細菌は鉄分を手に入れるためのしくみをいくつももっていて、そのためにもどうしても血が欲しいのです。
ですから、BOPが(+)ということは大事件で、細菌たちが元気に潰瘍を作り出血させ、鉄分を摂取してまさに元気100倍という状態なのです。
※BOP…歯茎から出血があるということ